子ども映画の傑作、映画『駆ける少年』の見どころとは
子供映画だからこそ見てほしい映画
子供を題材にした映画はたくさんあります。『駆ける少年』も、そんな子供を題材にした映画です。監督のアミール・ナデリ氏が、実際に体験した幼少期の出来事を織り込んだ、自伝的な映画になります。6歳の頃、ナデリ監督は両親を失い、浜辺に打ち上げられた廃船で一人生活をします。生活のために、空き瓶売りや靴磨き、水売りなどをし、映画が好きな少年は、読み書きを学ぶために夜間学校へ通います。
駆ける少年の良いところは、孤児でありながらも、前向きに成長していく子供(アミル)の姿を描いているところです。一見すると悲しいストーリーのように思われますが、過酷な生活の中でも、明るく前向きに成長するストーリーは力強さを感じます。また、エネルギッシュな少年の強いまなざしも印象的。
映像もサウンドも素晴らしく、少年の叫びが画面からも伝わってくるほど。とにかく圧巻の映像で、観た人の多くが『感動した』『前向きになれる』と評価をしています。ストーリー性ももちろんですが、とにかく演出が素晴らしく、一度見ると胸が熱くなります。
製作は1985年ですが、日本で公開されたのは2012年12月22日。映画の中では、1970年代初頭のイランの模様が描かれています。今でも貧しさが残るイラン。映画を見ていると、いろんな感情が芽生えるのではないでしょうか。
映画の見どころとは
子供が主人公になる映画は、無条件で感動するものが多くあります。『駆ける少年』もまたそんな作品のひとつです。監督は、日本でこの映画を公開しようと思ったきっかけを、『近年、アミルのような小学生を見かけない』からだそう。ニューヨークから東京にやってきたときに、一番最初に感じたのが『子供たちに元気を感じられない』ということだったのだそう。確かに、駆ける少年のアミル少年は、まさに子供らしい子供。元気いっぱいで、ネガティブなことさえも前向きにしてしまう少年です。また、日本では2011年3月11日に東日本大震災が発生しました。それ以来、大人も子供も元気を感じられないと思った監督は、『CUT』を日本で製作できる機会に恵まれたことのお返しとして、『駆ける少年』を公開したといいます。
活気ある日本を願ってこの映画を公開してくださった監督に深く感謝します。普段洋画を観ない方も、ぜひ観てほしい作品です。
ちなみに、起用した子供たちは、プロの役者ではなく普通の子供たちを集めたとか。そんな生々しさも、この映画の魅力のひとつではないでしょうか。